Kansas City Royals 2015 MLB Draft Result : Day 1

1巡目はAshe Russell(全体21位)とNolan Watson(全体33位)。去年のFoster Griffin, Scott Blewettに引き続き、初日に2人のハイスクール投手を指名。Ashe RussellとNolan Watsonは共にインディアナ州の選手ということで、エリアスカウトのMike Farrellに対するチームの信頼が伺える。事前の情報ではハイスクールSSのCornelius Randolph(全体10位でフィリーズが指名)への関心を伝えられていたが、ゼネラルマネージャーのDayton Mooreは可能な限りクオリティの高い投手を指名する事を考えていたとコメントしている。

1st -rd(21st): Ashe Russell | RHP | 6'4"/201lbs | Cathedral HS [ Video: 1, 2 ]
顔や体型などがよく似ているClay Buchholzではなく、Garrett Richardsタイプで"A lot of power"だとDayton Mooreは評価。Baseball Americaのレポートでは低めのスリークォーターから投げるファストボールが高評価を得ており、球速は常時92-94mphを計測し最速は97mphに達する。打者の手元での動きもあり、ゴロを打たせることが出来るタイプとのこと。変化球はスライダー(80mph台前半)の評価が高く、空振りを奪うことの出来る球種でRussell本人も自信を持っている。他にはチェンジアップも投げるが、こちらは発展途上にあるようだ。

将来的にはローテーションの中位以上を担える素材だが、ファストボールとスライダーの2ピッチスタイルからの脱却と、やや一貫性に欠ける腕の振りを改善する事などが課題として挙げられる。フォームや投球スタイルからリリーフ向きと評するスカウトもいるようだ。ドラフト前のBaseball Americaのランキングは17位。

今シーズンのAshe Russellは41イニングを投げ67SO, 9BB, 1.05ERAという成績でIndiana Gatorade player of the yearを受賞している。Texas A&M大学へのコミットメントがあるが、本人は契約に前向きな姿勢を見せている。全体21位のボーナスプールは$2,184,200。

1st -rd(33rd): Nolan Watson | RHP | 6'2"/195lbs | Lawrence North HS [ Video ]
全体33位はJames ShieldsのFA保証で得た指名権。今春になって評価を上げた投手で「非常に洗練されており、ファストボールのコマンドが素晴らしい」というのがDayton MooreのNolan Watson評。それまで80マイル台だったファストボールの球速が今年に入って常時90-93mphまで上昇しており、最速は96mphに達する。変化球はスライダー、チェンジアップ、パワーカーブの3球種。チェンジアップとパワーカーブはプロレベルで見ると発展途上だが、スライダーのレベルはまずまず高い。運動能力に優れ、一貫してストライクゾーンを攻めることが出来る制球と4ピッチミックスの投球スタイルがWatsonの特徴のようだ。ドラフト前のBaseball Americaのランキングは56位。

今シーズンのNolan Watsonは51.2イニングを投げ81SO, 10BB, 0.68ERAという成績。三塁手として出場したゲームでは1試合3HRも記録している。Vanderbilt大学への強力なコミットメントを持つが、エリアスカウトのMike FarrellはWatson一家と良好な関係を築いているようなので、なんとかサインにこぎつけて欲しい。全体33位のボーナスプールは$1,825,200。

2nd -rd(64th): Josh Staumont | RHP | 6'3"/200lbs | Azusa Pacific [ Video ]
カレッジのパワーアームを2巡目で指名。今年のドラフトクラスでは最速と目されるファストボールは、力みのないフォームから常時90マイル台後半を計測し、時には100mphに達する。80マイル台で投げるカーブの評価もまずまず高い。チェンジアップは時折良い物を見せるが、信用して使える球種という程のものではないようだ。Staumontはコマンドに大きな課題を持っており、改善に対して悲観的な見方をするスカウトもいるとのこと。プロフィール的にはリリーフ向きだろう。ドラフト前のBaseball Americaのランキングは80位。

今シーズンのJosh Staumontは68.2イニングを投げ109SO, 54BB, 3.67ERAに12のワイルドピッチと8つの死球がある。契約に対するハードルは低そうで、アンダースロットでのサインになるとの見解もある。全体66位のボーナススロットは$964,600。


※記事中にあるスカウティングレポートなどの情報はBaseball America, MLB.com, Kansas City Star, Pine Tar Press等を参考にしました。

開幕戦の記録



Score: Kansas City Royals 10, Chicago White Sox 1
Venue: Kauffman Stadium
Attendance: 40,085
Umpires: HP: Jerry Layne. 1B: Hunter Wendelstedt. 2B: Bob Davidson. 3B: David Rackley

小雨交じりの開幕戦。気温は15℃で、センターからレフト方向へ微風。スタンドには厚手の服装が目立つ。
2011年以来となるホームでの開幕戦につめかけた観衆は4万85人。チケットはソールドアウト。

試合開始前にはアメリカンリーグのチャンピオンリングの授与式。選手、コーチングスタッフ、フロントオフィスの面々らに混じって、オフにクリーブランドとマイナー契約した旧友Bruce Chenの元気な姿も見えた。
アメリカンリーグのチャンピオンフラッグ掲揚という大役を務めるのは、1969年のチーム発足以来、47年間に渡りKauffman Stadiumのシーズンチケットを保有し続けているというCarl St. James氏。

午後4:10(現地)、昨秋行われた日米野球でもアンンパイアを務めたJerry Layneがプレイボールを宣言。

- 開幕戦の記録 -

・Kendrys Moralesが今シーズンのチーム初得点を記録。2打数1安打3四球2得点で勝利に貢献。
開幕戦で3四球を選んだのは1990年のBo Jackson以来でチーム2人目となる。(via @KansasCityStats)

・Alex RiosはHRを含む3安打3打点。開幕戦での3打点はAmos Otis, John Mayberry, Freddie Patekらに並ぶチーム2位の記録となる。チーム記録は1982年のFrank Whiteで4打点。

・チーム史上2番目に若い開幕投手となったYordano Venturaは指がつって降板するまで、6イニングを投げ被安打4、失点と自責点が共に1、与四球1、奪三振2、81球を投げて56球がストライク(69%)という結果。
23歳307日での開幕戦勝利投手はRunelvys Hernandez(24歳338日)を抜き、チーム最年少記録となる。
一方、この日Yordano Venturaが奪った三振は2つに留まり、6イニング以上投げた開幕投手の奪三振数としては1993年のKevin Appier, 1971年Dick Dragoに並ぶチームワースト記録となった。
試合後のレポートによれば指の状態は心配ないようで、次回登板もローテーション通りになる予定とのこと。

・キャリアで初めて2番打者としてスタメン出場したMike Moustakasが今シーズンのチーム初HRを記録。
5回にJeff Samardzijaから。レフト方向へのホームランはMike Moustakasのキャリア最初の1本目。

・開幕戦でのチーム13安打は2004年以来。これはチーム史上で2番目に多いチーム安打記録。
開幕戦のチーム安打最多記録はチームが発足して最初のゲームとなった1969年の14安打。

・開幕戦での10得点は1979年の11得点に次ぐチーム史上2位となる記録。

・地元でロイヤルズ戦のTV中継を担当するFox Sports Kansas Cityのテレビジョン・レーティングは11.7を記録し、これが同局が担当したシーズン開幕戦(ホーム開幕も含む)における最高記録となった事を発表

※記録はBaseball Referenceのものを使用しています。

オープニングデイロスター



特別な催しが行われる日の朝は、緊張感とリラックスした空気が同居する何ともいえない雰囲気がある。
スポーツが得意だった人には運動会の日の朝の雰囲気と言えば伝わるだろうか。楽器の演奏が得意な人には音楽会の朝を思い出してもらおう。長い時間を掛けて練習した成果を披露する朝に、決まってやってくる"始まるまえの静かなとき"の雰囲気をこの記事のトップに貼り付けた写真は思い起こさせる。

・Kansas City Royals Opening Day Roster

C: Salvador Perez, Erik Kratz

IF: Mike Moustakas, Alcides Escobar, Omar Infante, Christian Colon, 
    Eric Hosmer, Kendrys Morales

OF: Paulo Orlando, Alex Gordon, Jarrod Dyson, Lorenzo Cain, Alex Rios

SP: Yordano Ventura, Danny Duffy, Edinson Volquez, Jason Vargas, Jeremy Guthrie

RP: Greg Holland, Wade Davis, Kelvin Herrera, Jason Frasor, Chris Young, 
     Ryan Madson, Franklin Morales

新たに5年$23MM(クラブオプション2年付き/総額$47MM)の契約を結んだYordano Venturaは"ACE"という、からかい混じりのニックネームを本物にしたいシーズン。1973年、23歳189日でオープニングデイスターターを務めたSteve Busbyには及ばないが、23歳307日での開幕マウンドはチーム史上2番目の若さ。James Shieldsの抜けたローテーションにはEdison Volquezが新たに加わっている。

MLBレベルでは2011シーズン以降登板できていないRyan Madsonがブルペン最後のスポットを獲得。そのRyan Madsonに加えChris Young, Franklin Moralesと新顔3人がロスター入り。Tim Collinsは残念ながらトミー・ジョン手術でシーズン全休が決定。昨シーズンの開幕前にトミー・ジョン手術を受けリハビリを続けるLuke HochevarはDLスタート。スプリングトレーニングでインパクトを残したBrian Flynn, ウェーバーを通過して3Aに移動したLouis Colemanあたりが当面のデプスとなる。

Kendrys Moralesを加えた内野陣。2015シーズン終了後に手術を受ける可能性を示唆したOmar Infanteの肘の状態は懸念材料で、春のゲームで見せたダブルプレイのスローイングも弱々しい。Omar Infanteの状況次第ではChristian Colonのプレータイムが増えるかもしれない。バックアップキャッチャーは移籍2シーズン目となるEric Kratzが務める。Salvador Perezは古傷の膝を悪化させないため、DHでの起用も増えそうだ。

リーグ屈指の守備力を誇る外野陣にはAlex Riosが加入。指の怪我の状態は良いようで、高いレベルでの貢献に自信を見せている。Paulo Orlandoは9シーズンのマイナー生活を経て、ついにキャリア初のアクティブロスター入り。陸上競技のトラックレースの経験を活かしたベースランニングと、3ポジションを高いレベルでこなせる外野守備はチームにフィットする。吉報を受け婦人に電話で報告した際には涙を見せていたという。今、チームの中で"始まるまえの静かなとき"を最も噛みしめているのはPaulo Orlandoかもしれない。

さようなら、Billy



憎たらしいほど落ち着き払った表情で、淡々とアウトを重ねていくMadison Bumgarnerの姿は凡そ20日経った今でも鮮明に思い出せる。チームはよく戦ったと思うし、ワールドシリーズを、それも7試合目まで観る事が出来たのは正直に言って望外だったわけで、そういう意味では満足しているし誇らしくもある。Giantsの強さを素直に認めることも吝かではない。それでも、やはりMadBumの顔は当分見たくはない。アングルやコマンド、配球を含めた度胸とか、色々と後から理由は付けられるが、何しろ、どうやったら打てるんだアイツというようなピッチングだった。だけど、時期も時期だし、思考停止を受け入れて未来の話しに切り替えたい。忘れてしまいたいような記憶は、いつもこんな風に未整理のまま蓄積されていく。僕の脳みそをデフラグしたら、たぶん相当な時間が掛かるだろう。

有り体に言えば、オフシーズンは出会いと別れの季節だ。今年も数多くの選手がユニフォームを変えることになる。長い時間、ファンやチームに良い思い出を残してきた選手だって例外ではない。

$12.5Mのクラブオプション破棄後、FAになっていたBilly ButlerとAthleticsが合意したと公式に発表された。もちろんRoyalsもBilly Butlerと交渉の席を持ったが、提示した契約条件は2年$14~16Mの範囲までで、A'sの3年$30Mには及ばなかった。Billy Butler自身はディスカウントに応じてでもチームに残りたいという意思をずっと示し続けていたが、来シーズンはSalvador PerezやAlex Gordonの負担を軽減させるため、彼らをDHで起用したいという意向をチームが持っていることは、秘密でもなんでもなかった。そのため、もしRoyalsに戻ったとしても、Eric Hosmerにディフェンスで劣るBilly Butlerのプレイタイムの減少は確実で、やはりそれはまだ28歳の選手にとって受け入れ難い話しだったのかもしれない。

Billy Butlerの成績は、シルバースラッガーを受賞した2012シーズンを境にして、ここ2年は下降しており、2014シーズンは151試合でキャリアワーストの.271/.323/.379 9HR。.107IsoPが示すとおりパワーナンバーの減少は深刻。BAとOBPは辛うじてリーグ平均を上回るが、スピードとは無縁のプレースタイルが自身の首を締めている。そんなBilly Butlerに対する今回のAthleticsの提示した条件は、かなり好意的だ。散々ぱら言われていることなので、もはやシークレットソースでも何でもないという気さえするが、ここ数年のA'sはフライボールヒッターを好んでチームに加えている。実際、2012シーズン以降、単年でフライボール%が30%を切ったA'sの打者は一人もいない(最小300打席)。一方で、Billy Butlerのフライボール%は2012シーズンから3年連続で30%未満。これについてはラインナップに多様性を持たせるための選択だという見方もあって、なるほど、それも一理あると頷けるのだが、フロントオフィスからFarhan Zaidiが去った後に獲得したほぼ最初の打者が、これまでは違ったゴロ、ラインドライブヒッターになったという視点も提供しておきたい。

リスクを避けたRoyalsの判断は正しいものだと思うし、Billy Butlerにとっても良い契約になった。
本音を言えばRoyalsのユニフォームを着たまま引退していくBilly Butlerを観たかったのだが、仕方がない。それでも、今年、Mike Sweeneyとチームが果たしたように、何時かBilly Butlerとも再会できる時が来ると良いなと、あの大きな体でKauffman Stadiumを揺らし続けた姿を忘れないよう、気長に待つ事にしよう。

AL Championship Series Game 4 : Royals 2-1 Orioles



明日からワールドシリーズが始まるというのに、いまさらALCS Game 4について何を書くべきか、正直よくわからないのだが、記録していくことに意味があるという趣旨でやっているのだから、何かを残しておこう。

スコアはGame 3と同じ2-1。タイムリーヒットなしという、それはそれはRoyalsらしい点の取り方だった。Caleb Josephのミットからボールを蹴りだしたAlcides Escobarのスライディングは見事の一言。結局、初回の2点を守りきったのだから、Lorenzo Cainの送りバントも無駄ではなかったという事にしておこう。

ALDSではスターターを6IP, 7IP, 6IPとシーズン中に近い形でマウンドに残していたNed Yost監督だが、ALCSに入ってからは5IP, 5.2IP, 5IPと早めの継投に切り替えている。Game 4でも73球のJasonVargasを5.1IPでマウンドからおろした。WSに向けて、この起用法の変化はなかなか興味深い。

ALCSのMVPはLorenzo Cainで異論は無いが、Kelvin Herrera, Wade Davis, Greg Hollandの3人を筆頭にブルペン全体もMVP級の活躍だった。外野守備とブルペンで勝ったようなゲームを続けてやっているのだから、Dayton Mooreとしては「してやったり」だろう。口癖のようにいっていた(時には嘲笑の的にされていた) "プロセス"が実った瞬間でもある。

Royalsファンのみなさん。前夜祭は、ほどほどに。